将棋コラム 将棋を指すと頭が良くなるのか?

2016.09.09 Friday

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将棋を指すと頭が良くなりそうな気はしませんか?答えはイエスかノーか…。

ところで、将棋界にはこんな逸話?があります。

 

「兄たちは頭が悪いから東大へ行った。私は頭良いからプロ棋士になった」

 

これは有名な某プロ棋士の発言だと言われています。

確かに将棋のプロになるのは東大へ入るより難しいのかもしれません。

 

本題に戻って、ここでは将棋の思考プロセスを簡単に明らかにすることで、

将棋の上達が人間の能力にどのように影響を与えているのかについての仮説を少し考えてみたいと思います。

 

「錯覚いけない、よく見るよろし」

 

これも冒頭の発言とは別の有名なプロ棋士の発言です。

この発言からも分かるように将棋とはまずもって認識のゲームなのです。

 

まずは何よりも局面を正確に認識すること、局面の流れを正確に把握すること、

そのことが将棋をプレイするうえで最も単純でありながら最も基本的な思考のプロセスになります。

 

また、このような将棋の格言もあります。

 

「四隅の香車を見よ」

 

香車は盤面の隅にそれぞれ4つ配置されています。この格言は盤面全体を広く認識することの重要性を説いたものでありますが、このことだけで立派な将棋に対する思考のアプローチになるのです。将棋とはまず認識のゲームですから複雑な構造性を持つ事象に対する認知機能の向上が一つには将棋の効果として挙げられます。

 

繰り返しですが、局面を正確に認識することが将棋の最初の基本的な思考プロセスになるわけです。

 

それでは次にプレーヤーが考えることはなんでしょうか。将棋は先読みのゲームですから自分がこの駒を動かしたら相手はこの駒を動かしてそしたら自分はこの駒を動かして…ということをひたすら考えます。強い人になると10手どころか100手先でも延々と先を読むことができます。実際に盤上の駒は動かせませんからすべて脳内で駒を動かすことになります。プロ棋士になると脳内に将棋の盤があるとも言われ、目隠しをしても正確に将棋を指すことができます。将棋を指すうえでは脳内で正確に将棋の指し手をイメージできるかがポイントになるのです。熟練者であればあるほどこの読みのプロセスが正確で複雑になるので将棋を指すことでイメージ力が強化されると言えるでしょう。

 

さて、盤面を正確に把握し、先読みをして局面を進めていくとようやく終わりが見えてきます。そうです、いわゆる詰む奴まざるやなどとも言われる王様を取るか取られるかの緊迫した局面になります。将棋の最も基本的な勝ちパターンは、1手でも早く相手の王様を詰ませる、王様を取ることです。

 

そこで必要な思考プロセスは何でしょうか。

 

それは簡単に言えば論理的思考による速度計算です。攻めの手を指したり受けの手を指したりして速度、つまり王様が詰むかどうかを調節します。このプロセスは非常に論理的に解が導けます。例えば、自分の王様があと2手何か手を指されたら詰んでしまうような局面だとすると、そこで相手の王様があと1手で詰む手(専門用語で詰めろ)を指せば勝ちに近づきます。逆に自分の王様があと1手で詰んでしまうような局面だとすると詰みを遅らせるような手をさす必要があります。その手がさらに相手に迫るような攻防の手だと速度は逆転するわけです。こうした論理的な思考を先読みと合わせて続けていくと最後は解が見えてくるはずです。将棋で最も重要だとされる終盤の局面を考えることは論理的思考を強化することに繋がるでしょう。

 

いままで見てきたことを簡単にまとめると将棋を指すことによって認知機能が向上し、イメージ力が強化され、論理的思考力が鍛えられると考えられることが分かりました。今回のテーマである将棋を指すと頭が良くなるのか?このことに対する答えは自ずと導けるのかもしれません…。

 

文責 会長代理 佐藤

コメント
非常に参考になります。一生ついていきます。
  • by 伊藤
  • 2017/06/13 11:14 PM
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